Youtube市場は近年急成長を遂げており、エンターテイメントや音楽、ビジネスなど様々なジャンルで多くの人気チャンネルが生まれています。従来のテレビ番組の視聴のように、Youtube動画の視聴の時間が日常の中に組み込まれている、という方も多いのではないでしょうか。

当然ながら動画の主役は映像コンテンツですが、Youtubeでは動画の視聴者が自由にコメントを残せる機能が搭載されており、動画作成者だけではなく、一般のユーザーからのコメントも動画を楽しむうえでの重要な要素の一つとなっています。また、動画制作者うあ、チャンネル運営側の視点で見ても、動画自体ではなく、ユーザーのコメントを分析することで見えてくることも多く存在しています。

今回の記事ではYoutubeのチャンネル運営において、コメントを意識して動画を作成することがどうして重要なのか、コメント分析の考え方、そして外部ツールを活用したコメント分析の事例を紹介します。

コメントの分析の重要性

コメントが多ければ多いほどアルゴリズム上で有利になる

Youtubeのアルゴリズムの仕様上、動画についたコメントが多ければ多いほどその動画は視聴者を引きつける良質なコンテンツとみなされ、おすすめなどで表示される可能性が高まります。

そのため、動画にコメントを行うユーザー心理を把握することは重要となりますし、他チャンネルの動画内容だけではなく、動画についたコメントから、どのような工夫を行えば、より視聴者にコメントを促すことが出来るかといったことを読み取って施策に生かすことも出来ます。

コメントを増やすには

実際に、特に若い世代の間で人気が高いYoutubeチャンネルでは、コメントを増やそうという意図が見える動画が多く見られます。

具体的によく意識されているポイントとしては、動画自体の企画や構成とは別に、より細かい『視聴者の注意を引き、コメントを思わずしたくなるような場面』をいくつか動画に含める、というものがあります。

もちろん動画のメインの内容に関するコメントが多くつくことは重要ですが、それ以外にも、例えば複数人のメンバー、特に男女混合のグループで運営されるチャンネルなどで顕著にみられるのが、メンバー間の関係性の良さが伺えるようなシーン、あるいは彼らの関係性を視聴者が想像したくなってしまうようなシーンを作る、というのは比較的一般的な手法です。

出演者の関係性に関する演出ではなくとも必ずしも構わないのですが、ドラマや推理小説の結末などを推測することが人気であるのと同様で、視聴者に想像を促し、その答えにいくつか解釈の余地があるような場面はコメントに繋がりやすいです。

コメント分析の手法

目視でのコメント分析のポイント

では、実際にYoutube動画のコメント分析はどのように行うべきかですが、まず標準的なのは目視によるコメント分析です。

コメント数にもよるものの、動画をフル視聴するよりも時間や労力はかからず、既に人気となっている動画のコメントを見ることで知ることが出来ることは多くあります。

①日本語以外のコメントの有無

日本語以外のコメントが付いているかどうかは、動画が人気となっている要因を知る上で、重要な指標となります。もしも日本語以外の言語でのコメントが付いている場合は、海外のユーザーからもその動画が評価されているということを意味しており、その動画の面白さとして評価されている点が会話内容などといった言語に依存する部分に起因するものではない、というケースが多いです。

あるいは、特定の言語でのコメントが多い場合は、その言語が使われている国で局地的にトレンドとなっているトピックを扱っている動画であるという可能性もあります。

②評価の高いコメントの内容

コメントには動画の評価とは別にユーザーが評価をつけることが出来る、という機能があります。このため、高評価が集まっているコメントは同じ動画を視聴したユーザーの多くの共感を得ているということになります。

したがって、評価の高いコメントを読めば、動画のどの部分、どういった要素がユーザーの興味を集めているのかを知ることが出来ます。

加えて、Youtubeのコメントにはタイムスタンプという動画内の特定の時間を指定してコメントを行うことができる機能もあり、タイムスタンプ機能が活用されたコメントの中に高評価が集まっているものがあれば、タイムスタンプで指定された該当シーンは特にユーザーの注目を集め、コメントをしたくなるようなシーンであるということを意味します。自チャンネルの動画のコメントの増やし方を考える上では特に参考になる動画の部分だと言えるでしょう。

③動画内容と直接関係のないコメントの有無

また、Youtubeの動画、特に人気チャンネルの動画には、動画の内容とは直接的に関係はないものの、チャンネル投稿者に関する一般的なコメント、あるいはユーザー自身に関するコメントがつくこともあります。

これは、そのコメントをしたユーザーが他のユーザーが同じ動画投稿者の他の動画も見ている前提で話をしている、あるいは常連のユーザー間のコミュニケーションの場としてその動画のコメント欄を活用している、ということなので、日常的に投稿される動画を視聴している固定ファンが複数存在していることを示しています。

基本的にはコメントをしてもらえばしてもらえるほど動画投稿者にとってはプラスとなりますので、これは非常にポジティブな傾向です。

このようなコメントが多くつく動画を投稿しているチャンネルは、ファンのエンゲージメント率を高められているということなので、動画の作り方など、参考に出来る点があるかもしれません。

このようなコメントを増やすためには、動画内で『私は～～ですが、皆さんはどうですか』のように直接的に、コメントを促すのも一つの方法です。

Youtube Data APIを活用したコメント分析

また、Youtube上のコメントデータはYoutube Data API経由でテキストを抽出することが可能となっているため、このAPIを外部のツールと連携させ、外部ツールでコメントを分析することも可能です。

こちらの事例(https://gaaaon.jp/blog/ado_yama)では、KH Coderというテキストマイニング用のフリーソフトを活用して、大ヒット曲となった『【Ado】うっせぇわ』と『yama – 春を告げる』のミュージックビデオのコメント分析を行っています。

歌詞の内容やアーティスト名といった必然的にコメントに登場する単語をあらかじめ取り除いて頻出キーワードやそれらのキーワードがどのようにかかわりあってコメントに登場することが多いか、などといった点を分析することで、それぞれの2曲が視聴者にどのような感情を想起させ、どのようなシチュエーションで人気を博したかを知ることが出来ています。

テキストマイニングはある程度動画へのコメント数が多いことが前提となりますが、個別に一つ一つのコメントを確認していくのでは見逃されることも多い、全体の傾向の分析が可能ですので、ツールの使用環境や動画に応じて、活用を考慮しても良いかもしれません。

まとめ

Youtube動画のコメント分析の重要性と、具体的にどのような点に注目し、参考にすべきか、そして外部ツールを用いたコメント分析の事例に関して解説しました。

人気を博しているチャンネルや動画のコメント欄には有用な情報が隠されていることも多いですし、自チャンネルの動画に残されたコメントはユーザーからの直接のフィードバックなので、それらの意味することを把握することが重要となってきます。

ただし、正確にコメント分析から得られた情報をチャンネル改善の施策に活かすためには、ある程度専門性のある知識も必要になってきます。もしコメントの分析に関して、不明点や課題点がある場合は、Youtube分析や企画コンサルを専門とする株式会社Luaazにぜひお気軽にご相談下さい。