YouTubeを企業が活用するメリットとデメリットとは

YouTubeを企業が活用するメリットとデメリットとは

今日の社会ではYouTubeが日常生活に欠かせないコンテンツとなりました。その流れは企業にも来ており、多くの法人がYouTubeを活用したブランディングを行っています。一方で、まだYouTubeチャンネルを開設していない企業からすると「YouTubeを活用するメリットって何?」「どれくらいの費用が必要なの?」など疑問点も多いと思います。そこで今回の記事では企業がYouTubeチャンネルを開設する際のメリット、デメリットなどを詳しく解説していきます。

▼YouTubeで企業チャンネルを始める5つのメリット

・新規のお客さんを得ることができる

YouTubeのユーザー数は若者だけでなく、老若男女幅広い世代で毎年増え続けています。日本に限らず、海外でもYouTubeは大きな動画プラットフォームとして人気を集めています。企業のYouTubeのチャンネルを作ることにより、自社の製品を幅広い世代にPRするだけでなく、国外への宣伝も可能になります。

近頃は、製品の特徴やどのように使うのかをインターネットで検索するときにGoogle検索をしてみて、追加の情報を得るためにYouTube検索をする人が増えています。文字をあまり読まず、動画での情報収集を好む人にも製品を知ってもらうことが可能になります。また、Google検索をしたときの検索結果の上位にYoutubeの動画が表示されることが多く、消費者に見てもらえる機会が増える可能性が高いです。

・企業や商品・サービスの理解を深められる

動画は文字に比べて情報量を多く伝えることができます。例えば1分間の動画サイトでは、文字の約3600ページ分の情報を得られると言われています。

文字単体や写真のみだと伝わりにくいもの、例えば音を特徴としているピアノなどでは、動画を視聴することで、視覚や聴覚で理解することができます。動画を使うと、実物に実際に触れることなく製品の素材や使用感などを大まかに確認できるのがメリットです。

製品の購入を考えている人にとって、とても便利なコンテンツです。消費者が実際に商品を購入したときの「予想していたものと違う」といった思い違いも減らすことができ、トラブルの防止にもつながります。

・企業のファンを育てることができる

YouTubeにはチャンネル登録というシステムがあり、自分の好きなチャンネルをいつでも見直せるように登録できます。加えて、動画を視聴した人なら誰でも動画へコメントできるコメント機能、動画を良いか悪いかで評価する高評価や低評価の機能が存在するため、企業と視聴者の簡単な意見の交換が可能です。

企業や製品のことを知らない人も、チャンネルの動画を何度も繰り返し視聴し、コメントや評価を繰り返しているうちに好印象を持ち、企業のファンになることもあるでしょう。

・他の集客チャンネルにも誘導できる

企業チャンネルの登録者が増加すると、視聴者が概要欄のURLからSNSアカウントや自社のWebサイトなどの集客チャンネルに移動することが期待できるため、そこからのマネタイズも期待できます。YouTubeを使った収益は企業の利益になります。

・データを使い分析と調整が可能

YouTubeはテレビとは違い、視聴者の性別や年齢層、視聴時間などを分析しデータにすることができます。得たデータを元にして、動画のフィードバックを見ながら調整ができるので一発での成功を求められるテレビCMやWebの広告よりも、長期的により良い動画を作成することができます。

▼企業がYouTubeを活用するデメリット

・Youtube専門の運用チームが揃わない

企業でアカウントを運用する場合、InstagramやTwitterと比較すると、運用の負担が大きいので、通常の仕事と並行して簡単に運用することはできないです。企画会議→動画撮影→動画の編集、アップロード→視聴維持率などの分析などYoutubeには多くの工程が必要です。

特に編集は10分の動画を作る場合でも10時間ちかくかかってしまうことも、ままあります。

そのため、企業アカウントをうまく運用するのであれば、Youtube専門のチームの体制を整備する必要があります。体制を整備せずに始めてしまうと、企業のYouTubeアカウントの運用に関する仕事が担当者の大きな負担になり、結果が振るう前に挫折して辞めてしまう可能性も大きいです。

・コンセプトに整合性がない

コンセプトはチャンネルの基盤となるとても大事なポイントです。ユーザーを軽視した企業の勝手なコンテンツ、例えば、企業をPRするだけの動画やCM動画と同じものを投稿しているだけのチャンネルはチャンネルとしてのコンセプトが見えず、結果的に、登録者や再生回数が思うままに伸びず、Youtube運用によるメリットを得ることができません。

・動画のネタ(アイデア)の不足

Youtube専門の担当者がいない場合、アップロード済みの動画分析や商品やサービスについてユーザーの関心や課題を完璧に把握することができず、動画のネタの不足が発生し、周期的に動画更新ができなくなってしまいます。

・チャンネルを開設から好影響をもたらすまで時間が掛かる

企業チャンネル運用の効果が出るには、短くても8〜12ヶ月は必要とされ、途中で辞めてしまう企業が多いです。公式チャンネル開設の初期段階では、目標とする指標が作りづらいため、効果を感じづらいですが、長い期間で見れば、資産となっていくコンテンツになるので続けることで最終的に大きな得を手に入れることができるはずです。

▼企業がYouTubeを運営するための手順

メリット・デメリットを精査する上で、YouTubeの運営手順も解説します。

(1)アカウント作成

まずYoutubeチャンネルを作るには、Googleアカウントが必須です。既にGoogleアカウントがある場合はそこからチャンネルを作成することができます。Googleアカウントの登録が終了したら、YouTubeにログインします。

ログイン後「YouTubeの設定」をクリックし「新しいチャンネルを作成」画面に進むとチャンネルを作成することができます。このページでチャンネルの名前を登録します。企業のYoutubeアカウントですので、基本的には企業名を入れるようにしましょう。

チャンネルの名前は、ユーザーが最初に目に入る大事なポイントですので、どのようなチャンネルなのかが一目瞭然であるチャンネル名にすることもポイントです。

チャンネル名が確定したら、次にアイコン画像など、ブランドアカウントの細かな部分を設定していきます。アイコン画像は、チャンネル名と同じように、ユーザーが企業を判別する大切なポイントです。企業のロゴマーク、企業のキャラクター画像など、会社のイメージを象徴する画像を設定するようにしましょう。

次に、バナー画像を作成します。

バナー画像とは、「YouTubeチャンネルアート」や「YouTubeヘッダー」とも呼ばれ、Youtubeのチャンネルページの上に表示される大きな画像です。ユーザーに対してチャンネルの概要であったり、ブランドのイメージ、チャンネルの内容などを知らせる看板や広告のような大切な画像です。

バナー画像は、パソコンやスマホなどデバイスによって表示される大きさが違います。YouTubeでは、最も大きな画像サイズであるテレビに合わせたサイズ(2560×1440ピクセル)のバナー画像を作成することがおすすめされています。

(2)企画作成

YouTubeでは企業のアカウントは個人で運営しているYouTuberとは違い、高品質なコンテンツを提供する必要があります。低クオリティの動画だと、企業の評判を下げることになってしまうリスクがあります。そのため企画や撮影、編集を行うスタッフの確保は重要です。自社で調達できない場合は他社に依頼するのも一つの案です。

加えて、動画の質を向上させるための機材を購入する必要があります。もし予算に余裕があるのなら、カメラ、マイク、パソコン、照明、編集ソフトなどの撮影を全て購入しましょう。最上級の質ではないにしても、動画のクオリティを一定以上にキープするためには、最低限の機材やスタッフの質も重要です。かかるお金が高額になる可能性もあるので、人件費や機材の代金などを全て確認してから予算を組みましょう。

スタッフと機材の準備が終わったら、続いて動画のテーマを決めて台本の作成を始めます。

最初の動画制作をする前にチャンネルの目的とコンセプトを設定しましょう。自社の商品の宣伝や企業の知名度アップなど、企業によってその目的は変わってきます。仮に動画の目的やコンセプトがないまま動画を作成してしまうと、想定どおりの効果が得られないかもしれません。相談してテーマを決定したら、最初の動画の企画を始めましょう。

YouTubeでは、どのような流れで動画を構成するのかを決めた上で台本を作り、撮影をします。「どうすれば、長く視聴してもらえるのか」、「自社の商品を魅力的に見せるためにはどのような台本にするべきか」などを考えながら構成を決定しましょう。

台本を作成する際には、文章だけでなく絵や図を使用できます。台本を完璧に作成しておけば、動画から無駄な内容を取り除いて、伝えたいことだけをピンポイントで伝えることができます。

・撮影

台本が完成すると、撮影に移ります。まず、撮影を始めるためには撮影場所を確保する必要があります。YouTubeの撮影を行う際に自社の土地や許可を得た場所なら問題はありませんが、それ以外の土地で撮影する場合は許可を取らなければなりません。仮に無断でYouTubeの撮影を行ってしまうと、あとからトラブルになる原因となるので控えましょう。

また、費用はかかりますが、機材があらかじめ揃っているスタジオを借りるという選択肢もあります。

撮影場所が用意できたら、実際に撮影が開始です。スタジオ以外の室内で撮影する場合は、照明機材を使用するか、元からできるだけ明るい場所を選びましょう。

加えて、室外で撮影する場合はノイズに注意しましょう。カメラの構図や、設定などにも注意しながら撮影を続けます。機材、スタッフなど、自社にあるもので十分か確認し、必要に応じて他社に依頼しましょう。

・編集

動画撮影が終了したら、次は編集の作業を行います。はじめに、動画の顔となるサムネイルの作成をします。サムネイルとは、YouTubeに動画を視聴する際に表示される画像のことです。

ユーザーの大多数はサムネイルを見て、そのYouTube動画を再生するかを決定します。魅力的で目を引くサムネイルを作成することは、動画のクリック率に大きな影響を与えるので極めて重要な工程となります。サムネイルひとつで、動画の内容を想像できることに加えて、その動画に魅力を感じさせるデザインを考えましょう。

動画の編集は、映像と音の編集をソフトを使用して行います。

編集ソフトには、「Adobe Premiere Pro」や「Final Cut Pro」などの本格的な編集ソフトからスマートフォンで編集できる無料アプリまで多種多様な種類があり、使いやすさや特徴もそれぞれ違います。企業のYouTubeアカウントとして最低限のクオリティを保つため、編集のプロに依頼することも必要ではないでしょうか。どのレベルの動画編集が必要なのか相談し、予算と希望の内容に合わせた方法を選択しましょう。

・アップロード

動画を視聴してもらうために、ユーザーが興味を持ってクリックしたくなるタイトルを決めましょう。

そのために、この動画の内容を簡潔に伝えなければなりません。また、動画のタイトルに自社商品、サービスについてのキーワードなどを入れることでSEO対策になり、検索結果画面での表示を増加させることができます。

動画を投稿するときに、タグや説明文も設定します。

YouTubeでのタグとは、動画の説明として加えることができるワードのことです。タグを使用することで、YouTubeが動画のトピックとカテゴリーを認識できるようになり、上位の検索結果に表示される可能性が高くなります。これらに加えて、YouTubeから流入させたいページのリンクを掲載すると、自社のサイトなどへのアクセスの増加が期待できるでしょう。

▼YouTubeの企業チャンネル成功事例5選

どの程度頑張れば、どの程度のメリットを得られるかを考えるためにも、成功事例をいくつか知っておいたほうがいいでしょう。

・ジャンプチャンネル

https://youtube.com/c/jumpchannel

まず初めに紹介するのが、集英社が発行する週刊少年ジャンプの公式YouTubeチャンネル、「ジャンプチャンネル」です。このチャンネルでは漫画の広告や週刊少年ジャンプの予告動画を投稿しています。それに加えて、ジャンプのキャラクターや漫画家と流行りのYouTubeの企画を行ってみるといった企業の宣伝だけではなく流行に乗った動画を投稿しており、現在チャンネル登録者約129万人と非常に人気を集めています。

YouTubeで作業の手元を移した動画が流行していることを踏まえて、人気漫画家がキャラクターを描く際の手元を映した動画を投稿していたり、人気漫画家が自分の漫画に出てくるキャラクターを実際に書いてみる動画は人気を集めています。さらに、YouTubeで多くの人が投稿している作業用動画に、自社のジャンプのキャラクターを登場させるなど、YouTubeの流行りを意識して、動画を作成していることが伝わります。

「週刊少年ジャンプ」という既存の物凄く有名で強力なコンテンツを、YouTubeで人気の企画と上手く組み合わせることによって、コンテンツの潜在能力を最大限に引き出していることが、大きな人気を集める理由でしょう。YouTubeの使い方をよく理解した上でチャンネルの運営をしている代表例です。

・北欧、暮らしの道具店

https://youtube.com/user/infohokuohkurashi

このチャンネルは「北欧、暮らしの道具店」というチャンネルで、家具雑貨屋の「北欧、暮らしの道具店」という企業が運営しているチャンネルです。主にドラマを投稿して、人気を集めており、現在チャンネル登録者は53万人を超えています。

「北欧、暮らしの道具店」のチャンネルの特徴としては、YouTubeではあまり見ないようなサムネイルや雰囲気の動画をあえて投稿しているという点が挙げられます。モーニングルーティンなどの動画も投稿されており、オシャレで少し幻想的な、視聴者に魅力的に感じてもらうというコンセプトだと考えられます。

企業のチャンネルでありながら、あまり直接的な宣伝の動画を出さずに、自社の製品はドラマのシーンに少し映るだけといったスタイルは、他の企業チャンネルではあまり見られないものとなっており視聴者に不快感を与えない、計算されたチャンネルとなっています。

動画の長さはYouTubeに適したものに設定していて、企業のチャンネルの中でも数少ないドラマのジャンルで成功しているチャンネルです。

・RIZAP(ライザップ)

https://www.youtube.com/channel/UCl3KNzEZkai5e9WQryNOjGA

続いて紹介するのは、テレビCMなどでお馴染みの、パーソナルジムRIZAPの公式YouTubeチャンネルです。2022年8月時点でチャンネル登録者数は17.8万人です。

一般的な他のチャンネルと違うポイントは、ジムの設備の紹介だけにとどまらず、実際にトレーナーがトレーニングをする様子を動画で見せてくれるという点です。一般人ではなかなか知識が足りない栄養素などの知識的なことを動画で解説して、再生回数を獲得しています。

YouTubeで流行りの音楽などに合わせたダイエットダンスが特に人気で「ダイエットダンス!「YOASOBI – 夜に駆ける」ダンス初心者でも楽しく4分で痩せる!という動画は現在750万回再生を越える大人気動画となっています。RIZAPの公式YouTubeチャンネルでは

YouTubeのトレンドを意識して、動画を作成し話題性を集めようとしていると考えられるでしょう。

そして、その動画を見てRIZAPのファンになってくれた方が、動画の概要欄のURLからRIZAPの公式サイトや公式SNSに簡単に移動できるシステムになっています。

ジムの紹介動画だけではRIZAPなどのパーソナルジムへの入会を考えている人しか視聴しませんが、家で簡単にできるトレーニングやダイエットなどに活かせるダンス動画をアップロードすることで多くの視聴者を集めたチャンネルです。

・美容室LIPPS (リップス)

https://www.youtube.com/user/hairmakeLIPPS

次に紹介するのは、主に東京都内や首都圏に店舗を構える美容室LIPPSのYouTubeチャンネルです。2022年8月時点でチャンネル登録者数は11.5万人です。

LIPPSのチャンネルではお店のPRのみの動画を公開するのではなく、クセ毛の直し方やヘアワックスの使い方など、美容院に行かないと知ることができないような髪の毛についての知識を解説しています。このような動画が興味をひき、再生回数を獲得しています。

「コレがプロの技!全国トップレベル美容師の技術!①」という動画では、プロの技術を目で体感できるのはもちろん、大幅なイメージチェンジに成功した例を多数紹介しており、誰でも理想の姿になれることをアピールしています。

そして、動画を見てLIPPSの美容室のファンになってくれた方が、概要欄のURLからカットの予約ページに移動してもらい、実際に店舗にお客さんとして来てもらう設計にしています。

お店のPR動画だけなら美容室を探している人にしか視聴されませんが、髪の毛の悩み全般という幅広いニーズに応えることで、多くの視聴者を獲得し、実際の店舗にも足を運んでもらえるという良い例です。

・塚原農園

https://www.youtube.com/user/tukaharayuuji

最後に紹介するのは、露地栽培と水稲栽培をしている農家が運営する塚原農園チャンネルです。

このチャンネルでは、毎日の農作業の様子や季節に合った野菜のレシピ、また農作業にかかわる専門家ならではの解説動画を投稿しています。

このチャンネルの優れているポイントは、一方的な発信だけではなく、コメントへの返信やプレゼント企画等で視聴者の方とたくさんのコミュニケーションをとっているところです。視聴者の方とコミュニケーションをとっていると、だんだん親近感が湧いてきて毎日動画を見てくれるファンになることもあります。

自宅でもできる野菜栽培をじっくり優しい語り口で解説している「トマトの育て方は最初が肝心・わき芽かきと整枝方法 21/5/1」という動画は、自宅でトマトを育てている方や、育てることに興味がある方に反響があり、現在232万回以上の再生回数を記録しています。

加えて、ほぼ毎日更新される投稿頻度と、その丁寧でわかりやすい解説には、一般の視聴者の方だけでなく、実際に農業に関わっている方からも高評価を受けています。

ここまでに紹介した5つのYouTubeチャンネルの全てに当てはまることですが、自社のPRだけでなく、視聴者の方にとっても価値のある情報を動画にして投稿することが企業のYouTubeのアカウントでの大きな成功要因であると考えられます。

▼最後に

今回の記事では企業がYouTubeチャンネルを開設するにあたってのメリットやデメリットを具体例も交えながら解説をしました。最近のYouTube市場は参入してくる企業が増えて、競争が激化しているので、正しい知識で動画投稿に取り組むことが必要不可欠です。今回紹介した企業YouTubeチャンネルの好例を参考にしながら動画制作を行ってみてはいかがでしょうか。

記事を書いた人

Luaaz編集部

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